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B787との付合い方…「グローバルビジネスとはキビしいネッ」という話 [お仕事]

 モノづくりの世界、取分けヒコーキを作る商売とは、実に厳しいものがある。ヒコーキが大好きで、下請けながらも昔からヒコーキ部品を作り続けてきた中小の勤め先に就職し、長年に亘りコレをメシのタネに稼いできた「つうマニア」としては、幸いにもその商売に立ち向かう苦労にも耐えてこられたし、逆にヒコーキに関わる事が楽しくて嬉しくて、若輩のころは「給料は二の次で良し…」なんて正直に思う事も出来た。自分のアイデアがカタチになって、そしてそれが初めて空を飛ぶ姿を目にした時には、これは涙モノである。

 
ヒコーキの生産は手作り的な要素が強い。また部品作りのペースもクルマの世界のように数分間に1個という割ではなく、ごく長い時間を要する。なにせ日本では100機も生産すればヒコーキとしてはベストセラーと呼んでイイかもしれないワケで、このへんがヒコーキ作りの世界の一種独特な背景を呈している。また十二分な安全性の確保から品質管理の面でも特異であり、一つの部品がいつどこで、どの材料を使って、誰がどの方法で作ったかを明確に記録しておく必要がある。さらに誰でも作れるものではなく、取引先メーカーの要求や国際的な品質標準であるISO、またNADCAPとよばれる世界中のヒコーキ屋により制定された品質基準があり、これらすべてを厳格な審査のもとに受検~合格し維持していかなくては、ヒコーキ作りの商売は出来ない仕組みとなっている。

 
我勤め先の柱の一つがコンポジットと呼ばれる材料を使ったヒコーキ部品の生産であるが、自分は入社以来、ほぼコレ一筋に携わって(楽しんで?)来た。以前は大手機体メーカーを相手に、チビチビと小部品を作っては納めていたが、これでは面白くないのでコンポジットとは何ぞやという切り口から儲かりそうな生産テクノロジーも探っていた。

 
そんな折、7E7という機体の開発が発表され、なんと今までの金属部品に代えてコンポジットを多用するという。これはこれは、我としては今まで貯め込んだアイデアを売り込むチャンスである。ただし7E7を開発するあの大御所が、はたして我々中小の話など聞く耳持っているのだろうか。恐る恐るその門を叩くと、あれまなんと、実にウェルカムなヤツラなのである。何度かシアトルに通いそのアイデアを説明したが、結果としてその部品は金属のままで進めるということになった。その大きな理由は価格の問題…。ヒコーキの軽量化に寄与するコンポジットではあるが、当時の大御所はコストを重要視していたのだ。

 
それから幾許か経って「その部品、やっぱコンポジットで作る!」と大御所が言い出したもんだから世界中から我も我もと手が上がり大変なことに…。当然うちも名乗りを上げたが、世界の列強企業と比較した我中小のテクノロジーは残念にもひ弱であり、結果的には玉砕に終わった。その後787と改称したプロジェクトでは、幸いにもtier 2メーカーの称号を得て量産機向けのコンポジット部品作りに励んでいる。

 
今月7月、Boeing 787 が日本へ初飛来する予定があるという。まぁヒコーキづくりの苦労話は別にしても「うつマニア」としてコレを撮り逃がす事は出来ないワケ。家族サービスの手前もあるが、この時ばかりはヤツラを振り払って出撃しなければ…。
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