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優しさは仇となるか… [雑感]

 自慢話になるかもしれないが、自分は両親から叱られたことが一度も無いし、勉強せよと強要されたことも無い。ましてや親から手を挙げられた事も無く、とにかく好き勝手に我が人生の道を歩んできた、というか歩ませてもらっていた。経済的な困窮もなく、最高学部まで現役で卒業したし、またそれを条件に学費もすべて工面してもらった。今でも心に思っているが、墓中の両親には決して頭が上がらない状態である。

 
そんな中で一度だけ母親から忠告された事がある。子供が生まれて間も無く、実家の両親に顔見せし、幾許かの喜びに浸っていた頃、母親の口からポロリと一言が出た。「おまえは優しすぎるから、子育てには向かないよ。」という。よーするに、子供を甘やかし過ぎたあげくには、その子にとって悪い影響を及ぼす結果になるぞ、という戒めとして当時は受け止めたワケであるが、反対に優しくて何が悪いのか、という逆説的な気持ちを持った事も実際あった。その数ヵ月後、患っていた病が悪化し、母親は他界してしまった。生まれた子の姿を見てもらう事ができて本当に良かったが、初めて親を亡くす経験は何事にも増して辛く、その後悲壮な日々が長く続いた。

 
その頃の自分は現在の精神疾病に対する闘病生活など考えたことも無く、暫くするとまた元の生活に戻ったが、その後に父親を亡くした時のショックが一因となり、本格的な「うつ」を発症するに至った。

 
さてさて、子に対する親の優しさの影響はどうなったかと言うと、あれから10年あまりが経過し、幼子も立派なガキに成長した。その性格はどうかと言うと、他人の意見には先ず反発する。自分のやりたい事をいつまでも押し通しダダをこねる。カネは天下の回りもの、と言わんばかりに努力無くもモノは湧いて手に入ると理解している。親の指導には耳を持たず、何べん注意しても悪い癖が直らない。などなど、親として気が休まる時が無い。

 
ただし不思議な事に、彼に対する小学校での評判はすこぶる良い。担任先生の話では、責任感が強く協調性があり、他人の意見をまとめ上げて人の先頭に立つ、といった具合なのだ。学業の方も落ち着いて課題に取り組み、知識を定着させている姿が見えるとも。成績もトップクラスだし、いっいったい、この大差はナンなのか。ちなみにうちのカーチャンは子の態度に対し、すこぶる厳しい性格の持ち主である。トーチャンが優しくて、カーチャンが厳しい。これって良い事ですよ、と何時ぞや家族旅行で何処かの旅館に宿泊した際に、担当のお女中さんから指摘された事があったけど…。

 
結論から述べると、外ヅラが良く世渡り上手で、家に帰れば内弁慶といった性格に仕上がっているようだ。まぁ、安心して居られる場所があるという事は大人にとっても大切なことだし、ましてやまだ子供の身、ワガママながらも自己主張のうえで単に甘えたいだけなのであろう。今はそれで良しとするか。

 
問題があるとすれば、この先十年で彼の性格・行動・文化はどう変化するか、まだまだ心配だなぁと思う事。その時初めて、親の優しさが仇となるか、判る時が来るということ。それも親としての楽しみなのかもしれない。ちなみに現在、高校生になった上のニーチャンは、その毎日を平平凡凡と送る今時の高校生であるが、ちゃんと家の手伝いはするし、その点はエライと賛美する。また時としてオヤジの味方になり、怖いカーチャンに対抗するため、オヤジの意見に同調してくれるようにもなったし、ちょっと安心感が出てきた。下のチビ助もそんな人間に育つと良いなぁ。
タグ:子育て
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